【インタビュー/学校看護師】Nsミレイさんに聞く「学校で働くということ」

日 常

こんにちは。Ease Upまさです。

先日、特別支援学校で勤務する看護師ミレイさんを迎え、「学校看護師」についてお話を伺いました。 今回はそんな「学校看護師」についてお伝えします。

学校看護師とは?

平成 23 年度文部科学省からの文書では、

・特定行為の実施にあたり計画書や個別マニュアル作成、学校医、指 導医の指導を求めることや報告のための記録を整備すること。

・看護師は保護者・学校医・指導医等とも密接に連携して情報交換し、学校として、定期的なミーティングヒヤリ・ハット事例の蓄積分析など、緊急事態を予防する取り組みを進めることが重要である。

医療的ケアが必要な児童生徒の個別の相談などについては、保護者等の了解のもと、看護師が学校と主治医等との橋渡しとなる役割が期待される。

(引用元:一般社団法人 日本小児看護学会

まさ
まさ

学校看護師という言葉が少しずつ知られてきましたが、その実態はまだまだ未知な部分が多いと思います。

今回はたくさんお話聞かせていただけると嬉しいです。

ミレイ
ミレイ

そうですよね!

私自身、たくさんの病院や施設を経験しているので、その比較も含めてお話できたらと思います。

これから子どもたちに関わる看護師の数も増えてくれたら嬉しいです。

まさ
まさ

法案も可決され、今後より一層期待されていく分野ですもんね!

それでは早速よろしくお願いします。

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主な業務と1日の流れ

まさ
まさ

そもそもの具体的な業務や1日の流れはどうなっているんですか??

はい!

業務を大まかに言えば、子供たちの健康管理安全に学校生活が送れるようにサポートをすることです。

特別支援学校の先生たちバイタルや身体所見のチェックはもちろん、ケアのある生徒さんが安全に授業へ参加できるようサポートを行います。

もちろん、医療的ケアとして「痰の吸引」や「栄養の注入」なども行います。

吸引や注入は自治体によって、都道府県から認定証を交付(研修後に)された先生たちによって行われますが、安全な実施が出来るよう看護師としてサポートもしています。

(1日の流れ)

朝は職員室で先生たちと朝礼を行い、その後に看護師のみで打ち合わせを行い生徒さんたちの情報を共有します。

生徒さんたちが登校すると、小学部から高等部まで各クラスに行き、授業のサポートやケアをします。

(登下校の際、親御さんと情報交換するのは密かな楽しみです!)

給食の時間はケアのある生徒さんたちの教室に行き、先生たちと注入や胃残物、全身状態のチェックと忙しく駆け回っていますね!

先生たちが痰の量や呼吸状態などで気になる事があればすぐに呼んでもらえるので一緒に確認します。

ケアがある生徒さんだけでなく、体調や姿勢、てんかん発作、摂食など気になる生徒さんがいると担任の先生や養護教諭の先生たちと共有しています。

学校の全生徒さんを注意深く観察しています!

あ!もちろん遠足や修学旅行にも一緒に行きますよ。

まさ
まさ

迷った時、すぐに看護師さんに相談できる環境だから先生たちも安心して働けそうですね。

個人的には医療的ケアが必要な子以外も積極的に関わっていくスタイルって素敵だと思います!

場所によってはすごく割り切った関わりという話も聞くので。

ミレイ
ミレイ

確かにそういう学校の話も聞きます。

私はそれをしたくないんです。もったいないっていうか。

ケアが必要出ない子たちでも積極的に関わることで良い結果につながる場合もたくさんありますからね! 関わる子どもたちみんなの成長を一緒に見られる事が楽しみなんです。

学校で勤務する楽しさや大事にしていること

まさ
まさ

初めてお話をした時から感じているんですけど、本当に楽しんでお仕事されてますよね!

学校勤務の楽しさ大事にしてることを聞いても良いですか?

一番の楽しみは生徒さんたちの成長が見られることです!

病院で会う子どもたちは、病気で入院しているのでいつもの彼らではないですよね?

病院だと日常の姿が見られないんですよ。子供たちが日常を取り戻す頃には退院しちゃいますからね。

でも、学校だとみんなの普段の生活や成長が見られる。

「あ、こんなことできるようになったんだ!」とか、「こんな表情できるようになったんだ」っていう。

そんな日常を間近で見られるのが学校で働く醍醐味ですね。

学校が故にできないところ/歯痒く感じるところ

まさ
まさ

病院ではない勤務だからこそ制限される部分もあるかと思うんですが、例えばどんな時にそう感じますか?

臨機応変な対応ができないことですね。

医療的ケアについては個別でマニュアルが決まっています。つまりそれを逸脱した行為は基本的に禁止されています。

例えば、

・胃瘻のある子が空気を飲んで胃がパンパンになっている。

・水分量が足りていない。

・瞬間的に酸素投与量の変更が必要。

・便秘による発作の誘発が心配。

という時、対応について主治医から指示があってもマニュアルがないケアは実施できない。例えば酸素の流量など細かい指示があっても、学校では酸素の流量変更やオンオフもできません。マニュアル内で取り決めた範囲からの逸脱はできないということになります。

必要性を感じても、出来ない時はとても歯痒い気持ちになります。辛い思いをしている子どもを前に何もできないのはストレスですね。

また、ケアのマニュアルを作り先生が吸引や注入、看護師が色々なケアをするために一定期間、保護者の付き添いが必要になります。保護者の負担が増えてしまうという観点からも制度上の問題を感じています。

学校看護師として一般業務以外の活動

まさ
まさ

自分も学校教諭の経験があるのでわかるんですが、いわゆる一般業務以外でも活動する場面ってありますよね。

そういった学内や学外の活動は何かありますか?

説明会講習会などを行うこともあります。

養護教諭の養成校から学生向けの説明会を依頼されたりですね。特別支援学校の紹介や養護教諭と看護師の役割や連携なんかを説明します。思ったより鋭い視点の学生が多くて楽しいですよ!

また、勤務する学校の先生向けに講習会を行ったりもします。

医療職ならではの部分で知識を共有することは大切だと思っています。

例えば、

「そもそも麻痺って何?」、「錐体外路障害とは?」みたいに普段から関わる子供たちが抱える医学的問題について知識を共有していきます。

一から参考書読むのは大変ですよね? だから個人的には私たち専門職を上手に使ってくださいっていう感覚でいます。

私が一緒に働いている先生たちは本当に勉強熱心な方が多くて、私自身がむちゃくちゃ楽しんでやっています! これについては同僚のリハビリ専門職の方も巻き込んで職員全体で行っています。

多職種で協力し合える職場って本当に楽しいと思います。

余談ですが、先生たちと関わる時はこちらからどんどん絡んでいくようにしています!

「私こんなこと詳しいですよ」ってグイグイ自分から発信して、教えたがりで世話焼きな自分を前面に出しています。そうすることでお互いに聞きやすい話しやすい環境づくりをしていくことが大切だと思うんです。

職種ごとに得意分野ってありますよね?

でも絶対に1人じゃ何もできない。

職員みんなが協力することで子供たちにとってより良い環境が提供できるんです。

特別支援学校に興味のある看護師さんへのメッセージ

まさ
まさ

小児分野の経験が少ないことや現状のスキルで大丈夫か、など興味はあっても様々な不安を抱える方も多いと思います。そんな看護師さんへ向けてメッセージをいただいてもいいですか?

経験値は大切だと思います。特別支援学校の常勤看護師求人だと枠が1名だったりするので。

個人的に放課後等デイサービスなど地域レベルで子どもと関わる経験値を積むのが良いと思います。

学校後に通えるくらい体力のある子が多いですし病院勤務ではできない多くの経験を積むことができます。

また、学校勤務は医療職が少ないから怖いという声も聞かれます。

ただ、学校という場所は良くも悪くもマニュアルがしっかりしています。そういった意味では安心もあります。

自治体によっては学校看護師としての研修もあるので、興味のある方は問い合わせてみることをオススメします。

あと、学校で働くので、基本土日祝は仕事は休みです。お子さんをお持ちのママ看護師さん不規則勤務や夜勤勤務が苦手な看護師さんは働きやすいと思います。

私個人の考えですが、

学校には様々な職員がいます。だから、問題を1人で抱え込まない、1人で対応しなければと思わないで欲しい。

職種関係なく周囲のスタッフに助けを求める「声を上げるスキル」をしっかり持って欲しいと思います。

このことを私に教えてくれたのは子供たちです。

私たちが関わる子どもたちは周囲の助けを必要とします。でも、それって私たち大人だってそうですよね?

専門職だからって全て1人で解決しなくて大丈夫!困ったら手を上げて周りに助けを求めてください。

前述したように1人で出来ることなんてたかが知れています。周りと協力して問題に取り組んでいけば良いと思います。

最後に、学校だからこそ自由に動けるところがあることを覚えておいてください。

教員の先生達や保護者の方とどう関わるか。もちろんマニュアルはありません。

病院では医療職同士で関わることが多いですよね?

私は今まで、病院(NICU)、訪問看護ステーションや児童発達支援.放課後等ディサービス、相談支援で働いてきました。

地域医療は、他職種だけでなくたくさんの医療者ではない人たち全員のチームプレイです。そこから生まれる強さ、凄さをぜひ感じて欲しいです。

学校という場は、毎日子どもたちの成長を間近で見ることができ、その感動は何事にも代えがたいです。 興味のある方はぜひ勇気を出して一歩を踏み出して欲しいと思います。

さいごに

今回は本当に貴重なお話を聞くことができました。

ミレイさんとの出会いは、私が開催しているオンラインセミナーに参加していただいたことが始まりです。

初めてお話した時から、本当に熱く楽しく仕事をされている印象でした。

本当に素敵なお人柄で、セミナーが終わった後にも遅くまで話し込んでいました。

私が講師の立場で出会ったにも関わらず、逆にたくさん刺激をいただくというw

そこで、改めて今回のインタビューを依頼し、快く承諾をいただきました。

今後、さらなる業界の発展を願い、業界に興味を持つ方への力となるお話だったと思います。

最後に、今回のインタビューに快くお応えいただいたミレイさんに感謝をして締め括りたいと思います。

ご拝読ありがとうございました。

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