「胸が固いですねぇ」
リハビリや診察時に言われたことはないですか?
身体に麻痺があったり自分で上手に姿勢を変えられないお子さんの場合、どうしても胸の動きが硬くなってしまいます。
また、これは大人も同様です。
日常生活において一定の姿勢をとることが多く、なかなか運動の習慣もないと胸の硬さが生まれてしまいます。
今回はなぜ胸が硬くなるのか、硬いと何がいけないのかについてお話します。
![まさ](https://easeup-masa.com/wp-content/uploads/2021/11/34899cc004db318b88ecdd63f6e48df7-150x150.png)
以前の記事でもお話しているように、胸の硬さは呼吸だけじゃなく様々な悪影響を生みます。
できる範囲で予防していくことをお勧めします。
胸が固い原因
硬くなるのは大きく分けて、
胸郭(肋骨や背骨)とそれを取り巻く筋肉です。
(さらに細かく言えば肩甲骨や鎖骨、筋膜などを含みますが、今回は割愛します。)
自発的な動きが少なかったり一定のパターンでしか動かない、呼吸が浅いなどが日常化すること関節の動きや筋肉の柔らかさが損なわれてしまいます。
そのため、呼吸に関わる関節と周囲の筋肉の動きが損なわれ、いわゆる「胸が硬い」状況が出来上がります。
リハビリでは遊びや運動を通じて様々な動きの体験を促します。
自分でコントロールできない部分でも、ちょっとしたサポートで多くの運動を行う事ができます。
運動や呼吸をサポートすることはこれら、胸の硬さを予防・改善するための助けとなります。
硬さが招く悪影響
以前の記事でもお話しましたが、胸(体幹)の働きは運動の要です。
胸が硬いことでお腹周りの筋肉が十分に働かず、本来の能力を発揮できなくなります。
また、姿勢がワンパターンになりやすく側弯に対しても悪影響を及ぼすことも懸念されます。
運動だけではありません。
胸が硬ければ息を吸っても十分に空気を肺に取り込めません(換気の低下)。
浅い呼吸は痰が出しづらくなるだけではなく、睡眠の質を低下させたり、心臓への負担もかけてしまいます。
硬さが解消すると良いことがいっぱい
胸の動きが改善されると当然たくさんの空気を吸い込めるようになります。つまり深い呼吸ができるようになる。
すると、
・酸素をたくさん取り込める
・二酸化炭素を十分に排出できる
・横隔膜がよく動く
・余分な呼吸の回数が減る
これらが達成されることで、
・筋肉の疲労軽減
・心臓の負担軽減
・睡眠の質改善
・リンパの流れを改善
・痰の排出改善
などが見込まれます。
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胸を柔らかくする方法
ここでは具体的な方法を簡単にお話します。
「呼吸方法」については大人の方向けになります。
日々の生活やストレスで意外に呼吸が浅くなり、胸郭が硬くなっている方は多いので、ぜひお試しください!
エクササイズ
子どもにしてあげるエクササイズをご紹介します。
呼吸介助は少し練習が必要なので、身近にいるセラピストに確認してみると良いでしょう。
Ease Upでもセミナーを実施できるので、興味のある方はご連絡ください!
バンザイ運動
その名の通り、腕を上に挙げるだけのシンプルな運動です。
腕を挙げることで胸の筋肉が胸郭を引っ張り上げてくれるので、深い呼吸をすることができます。
※緊張が高くて上まで挙がらないという場合は、可能な範囲で十分です!
高く上げることが目的ではなく、筋肉の伸長で胸郭を持ち上げることが目的だからです。
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お腹のストレッチ
お腹の筋肉は胸郭から骨盤まで、非常に広い範囲に付着しています。
ここが硬くなることで呼吸の際、胸の拡がりをジャマしてしまいます。
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お腹のストレッチについてはコチラも合わせてご覧ください。
呼吸介助
こちらは呼吸に合わせてダイレクトに胸郭を動かす方法です。
少し練習が必要なので、見様見真似で実施することは避けましょう!
必ず、専門職の指導をもらい行うようにしてください。
呼吸介助については以下の記事で詳細をお話しています。
オンラインセミナーも実施しています。
ご興味のある方はご連絡ください!
呼吸方法
たかが呼吸と侮ってしまいますが、健康な成人でも呼吸に問題のある方は多いです。
ぜひ一度、自分で深呼吸をしてみてください。
どうでしょうか。意識しないと、日常生活で深い呼吸てなかなか行わないものなんです。
以下で紹介する呼吸方法はそんな成人の方向けに挙げさせていただきました。
腹式呼吸
健康な成人では、息を吸う際に胸とお腹の両方を膨らます胸腹式呼吸が一般的です。
しかし、デスクワークなどの不良姿勢が続くことでお腹を膨らます機会は減少します。
ここでは一般的な腹式呼吸の練習をお話します。
慣れてきたらヨガや太極拳などの教本を参考に自分に合ったものを探すのも面白いかもしれません。
①両手をそれぞれ「胸」、「腹」にセットする
②お腹の手を押し返すように膨らませてみる
③吐く時は最後までお腹を凹ませるように吐ききる
※ ②−③を繰り返す(下図 青線)
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よく、吸う:吐く=1:2なんてことも言われますが、初めは少し長めに吐いてあげるくらいから実施してみましょう。
胸のセルフストレッチ
①胸に手を当てる
②息を深く吸う
③膨らむ胸を両掌で抑える
④息を吐くと同時に手の力を緩める
※これを数回繰り返します。
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他にも多くのセルフストレッチが存在します。
今回ご紹介したのは、個人的に日常生活でやりやすいもの(カフェで行ってもあまり周囲の目が気にならないもの)をピックアップしました。
「呼吸筋ストレッチ」で検索すると色々出てきますよー!
まとめ
今回は胸の硬さについてお話しました。
呼吸というと酸素飽和度(SpO2)や痰に異常がなければスルーされてしまうこともあります。
けれど、実際は注意するべきことは多岐にわたります。
ぜひ、普段から硬さをチェックして気になった際は周りの医療スタッフへ相談できるようにしましょう!